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風炉とは ~ 茶道の知識

2016/04/11

風炉とは 茶道の知識


茶の湯の世界では、五月から十月までを「風炉(ふろ)」の季節、十一月から四月までが「炉」の季節となっています。


風炉と炉の違いは、主に釜の懸け方、すなわち、湯をどのように沸かすかということです。

風炉の季節には、風炉を据えて釜を懸け、炉の季節は茶室に炉を切って釜が懸けられます。


風炉は可動式で、点前の種類や、使う道具によって、据える位置が変わるのに対し、炉は固定式といえます。


現在では夏の暑い時期に風炉、冬の寒い時期に炉と、使い分けられていますが、村田珠光、武野紹鴎、千利休が炉の点前を定めるまでの書院茶の時代は、四季を問わず風炉が用いられていました。


風炉は、鎌倉初期に、仏具である台子などと共に中国から伝来したとされています。日本で最初の風炉は、奈良の春日大社の神器を手掛ける土器師によって、造られたと伝わっており、奈良風炉と総称されています。


草庵茶の時代になると、様々な形の釜が使われるようになり、風炉にも種々の形態のものが造られるようになっていきました。


風炉はに分類されます。真・行・草とは、直接には、書道の筆法である楷書(=真)、行書、草書からきたもので、本来の形を楷書(真)、それを少しくずした形を行書、最も字形をくずした草書という三段階の筆法を、茶の湯の世界に当てはめて分類したのが真・行・草です。


真の風炉は原則として土風炉で、行は唐銅風炉、真鍮風炉などで、草は鉄風炉、板風炉、丸炉、陶磁器製の風炉とされています。

土風炉には、奈良風炉のように前面が繰られたものと、眉風炉や透木風炉のように火窓のあるものがあり、眉のある土風炉が真、眉のない土風炉が行となっています。

唐銅風炉や鉄風炉は釜師によって創作的に造られることが多く、鬼面風炉や朝鮮風炉など様々な形態のものがあります。



風炉の種類 ~ 茶道の知識


眉風炉…土風炉の一種で、火窓の上部が切れずにつながっている形のもの。

透木風炉…土風炉の一種で、肩の部分が平らで透木が置きやすくなっているもの。

面取風炉…面風炉ともいい、火口が刳られた風炉の肩に面が取られたもの。

四方風炉…唐銅風炉の一種。四角形で、利休好には肩のない大きいものと、肩のある小さいものがある。

板風炉…周囲が板で、内部は炉壇で、風炉灰や湿し灰を用いる。主に風炉から炉に替わる時期に使われる。

欠風炉…鉄風炉で、甑や肩の一部が欠けてなくなったり、鎹(二つの材木をつなぎとめるために打ち込むコの字型の釘)で継いだりしたもの。侘び寂びを重んじる趣向から、風炉から炉に替わる名残の時期に用いられる。

紅鉢風炉…土風炉の一種。すり鉢形の火窓が半円形に切られたもの。



敷板の種類 ~ 茶道の知識


敷板は風炉の下に敷く板で、風炉の安定をよくし、風炉の熱気が畳へ伝わるのを防ぐ役割があります。


【主な敷板の種類

大板…約42.4㎝四方の板で主に中置の時に用いられる。真塗、掻合わせ塗、荒目などがある。

小板…大小サイズがあり、風炉の大きさにより、使い分けられる。また、真塗の小板は、唐銅風炉、掻合わせ塗のものは唐銅と土風炉の両方に用いられる。

荒目板…鉋目の入ったもので、土風炉に用いられる。手前が粗く、向こうに向かって細かくなる向きに用いる。

円板…真塗、掻合わせ塗があり、四方風炉などの四角い形の風炉に用いる。

鉋目板…淡々斎が切掛風炉用に好んだとされる。鉋目3つを手前にして用いる。

常盤板…玄々斎が常盤風炉に合わせて好んだもの。桐材で青漆が塗られ、木口には朱色で山道の彫りが意匠されたもの。