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拝見~大寄せ茶会・薄茶席 ~ 茶道の知識

2016/03/17

拝見~大寄せ茶会・薄茶席 ~ 茶道の知識


茶事では、濃茶席の後に、薄茶席となりますが、大寄せ茶会では、濃茶席と薄茶席の順が逆になることもあります。今回は裏千家の作法をもとに、大寄せ茶会での薄茶席の流れと拝見について触れます。

 

大寄せ茶会・薄茶席 ~ 茶道の知識


薄茶席~床・点座前の拝見

人数が大勢集まる大寄せ茶会では、薄茶のみでもてなされることも多くありますが、濃茶をいただいてから薄茶に入る場合は、薄茶席の床も「諸荘り」となります。


濃茶席と同様、正客から順に床を拝見します。扇子を前に置き、真のお辞儀で一礼し、掛物・花・香合の順にみていきます。濃茶席の床の荘りとの雰囲気の違いを感じとるようにしましょう。

その後、点座前へ移ります。点前座に移る際は、拝見物が置かれる場所には、足を踏み入れないように注意します。点前座では、第一印象を大切にしながら、ひとつひとつの茶道具を順に拝見していきます。


薄茶席~茶碗の拝見

人数の多い大寄せ茶会の薄茶席では、亭主が席中で茶を点てることのできるのは、正客と数名までで、あとは、水屋からの点て出し(茶を茶室の客の前で点てずに、水屋で点てて運び出す略式のこと)となることが多いようです。


正客用は「主茶碗」、次客・三客用は「替茶碗」、点て出しは「数茶碗」といいますが、席中では主茶碗、時間があれば替茶碗まで拝見させていただきます。

薄茶席では、正客は薄茶をいただき、拝見したあとに、次客へ拝見にまわします。正客から替茶碗の拝見の所望があったら、次客は飲み終えた替茶碗を正客へ渡し、順に拝見します。末客まで茶碗の拝見がすんだら、亭主または水屋に戻します。


薄茶席~薄茶器・茶杓の拝見

亭主は、正客からの所望を受けて、薄茶器と茶杓を定座に出します。正客は、拝見物を薄茶器、茶杓の順に縁内にあずかります。次客に「お先に」と次礼してから、薄茶器を縁外正面に置き、拝見します。

薄茶器を拝見する際は、亭主が数茶分の薄茶しか点てていないので、中に抹茶が沢山入っていることを忘れずに器を扱うようにしましょう。


薄茶器に続いて、茶杓を拝見しますが、茶杓全体を拝見するときは縁外に置き、手に取ったら低い位置で扱います。茶杓も亭主の思い入れのある大切な品ですので、節より上にはふれないように気を付けて、拝見させていただきましょう。拝見が終わった薄茶器は縁内の膝寄りにあずかり、茶杓はその下座に置きます。


薄茶席~退席時

人数や時間の制限で、すべての拝見物を席中でまわすことができない場合は、退席時に定座に出された拝見物を数名ずつで拝見させていただきます。その際は、扇子を自身の前に置き、拝見し、点座前の道具や、待合の煙草盆もみせていただきます。

時間が許すのであれば、退席時にもう一度、床と点前座を正面から拝見させていただきます。


※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。