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五徳とは ~ 茶道の知識

2016/04/12

五徳とは ~ 茶道の知識


五徳は、炉や風炉の上に置いて、茶の湯釜をのせる道具です。 五徳は、その文字から儒教における「五常の徳」を語源とするともいわれます。


また、山田宗徧の「茶道要録」には、「仏書にいう自在徳、熾盛徳、端厳徳、名称徳、吉祥徳、尊貴徳の六徳のうち、自在鈎が出来たことにより、自在徳が除かれて五徳になり、それを名称とした」という説明も見受けられます。


五徳の語源には諸説あり、他にも、火所(ひどころ)、火床(ひとこ)がなまって「ごとく」と称したという説などもありますが、いずれも確たる説はありません。


五徳の多くは、鋳型製ですが、陶器製の物も稀にみられます。

一般の五徳は、輪のほうを上にして用いますが、茶道での五徳は、輪を下にし、爪の部分で釜を受けます。



五徳の種類 ~ 茶道の知識


五徳には、風炉用と炉用があり、大きさに違いがあり、風炉用の方がやや小さめです。

風炉用…直径7~8寸(約21.2~24.2㎝)、高さ3~5寸6分(約9.1~17㎝)

炉用…直径9寸(約27.3㎝)、高さ5寸(約15.2㎝)

風炉用の五徳は、前土器を立てるため、据えたときに前にくる輪が欠いてあります。


五徳の爪には、長爪、鴨爪、薩摩屋形、猫足、鬼爪など色々な形があります。また、伝統工芸士などにより、五徳の爪に「虫喰い」を鉄で表現した「虫喰い五徳」は、技巧性、芸術性も高いものとして評価されています。



五徳の据え方 ~ 茶道の知識


風炉用…輪の一部が開いているので、その開いた部分を手前に据えると、五徳の爪の2本が手前になり、残った1本が真向こうになります。


炉…炉の五徳に正面の決まりはありませんが、炉の五徳には、一つ爪または檠爪(けいつめ)と称して三つの爪のうちひとつだけ少し形の違ったものがありますので、その檠爪の位置に決まりがあります。


四畳半本勝手の茶室の炉に五徳を据えるときには、その檠爪を炉の下座右側に貴人畳(上座・主客が座る畳)に向けて置きます。

四畳半逆勝手の場合は、檠爪を向こう正面から、点前座にむけて据えます。


大炉では、炉の左向隅に玄々斎好みの楽焼の雪輪瓦を立てて灰仕切りをしますが、炉に向かって右手前寄りに五徳を据え、檠爪が雪輪瓦の中心と向かい合うように置きます。


なお、炉では釣釜の場合や、自在を使った場合は、五徳を用いず、また、炉・風炉とも透木を用いたときや、切掛風炉などでも五徳は使われません。