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懐石道具の基礎知識~陶磁器

2017/03/29

懐石道具の基礎知識~陶磁器

   

懐石道具の器では、飯椀・汁椀・煮物椀はいうまでもなく、漆器が主に用いられますが、向付・やきもの用の器としては陶磁器が多く使われます。


今日では、酒を預ける酒や肴が重ねて出される場合が多く、陶磁器の徳利や酒吞、肴類を盛り合わせた大小様々な鉢や皿など、陶磁器の器の種類も多様化しています。


ここでは前回の懐石家具(漆器)に続き、陶磁器の懐石道具について、茶道具資料をもとに説明します。

   

向付

   

向付とは膳上の向こうに付けられる料理やその器をいいます。今日、茶人の間に最も声価の高い向付といわれるのが、美濃窯の志野焼、織部焼、さらに唐津焼の向付です。

   

志野向付は桃山時代後期にはつくられていたとされ、轆轤挽きと型造りが併用されたものが多くみられます。

志野向付の魅力は器形だけでなく、白い素地を生かして鬼板で文様を描き、柔らかな長石釉を掛けるといった、文様や釉の味わいにみることができます。また、鬼板を掻き落とすことによって文様を表す鼠志野にも向付が多くみられます。

   

志野にはじまる向付の装飾性は、さらに織部焼によって多様化し、その後、日本各地の焼物に大きく反映されました。最もその影響がみられたのが唐津焼で、唐津地方の甕屋の谷窯や内田皿屋窯では志野作風を取り入れた向付が量産され、次第に唐津独特の作風に変化していきました。

   

江戸時代には、日本の注文により、中国の景徳鎮でも向付がつくられるようになりました。

意匠性が重要視された江戸時代には、装飾性豊かな向付が各地で焼かれ、樂家でも三代道入依頼、割山椒、四方形、舟形などの向付が焼成されました。さらに、江戸時代後期には、永楽保全などが交趾釉や色絵付を駆使した色彩豊かな向付がつくられました。

   

焼物鉢・香の物鉢

   

焼物鉢はかつて漆器が使われましたが、今日では平鉢、手鉢、皿など陶磁器製のものが好まれています。古作では備前、志野、黄瀬戸、織部などが特に珍重され、織部焼に似た古染付などもよく用いられています。

   

焼物鉢の後に、香の物鉢が出されますが、やや小振りな鉢が用いられることが多く、備前、志野、黄瀬戸、織部、唐津、高麗物、また茶人の手捏ねなどが使われることもあります。薄手の陶磁器はあまり好まれず、料理を引き立て、作行きを楽しむことのできる個性豊かな器が好ましいとされています。

   

酒器・強肴鉢

   

今日では、一汁三菜以外に、強肴(炊合せや和え物、酢の物、酒盗など)が酒とともに出される場合が多くみられます。この場合には、酒器には徳利が多く用いられ、人数分の石盃が添えられます。

徳利で特に好まれるのが、焼締めの味わいが特徴の備前焼です。茶の湯に限らず、古くから徳利といえば備前といわれており、懐石の酒器としても特別なものとされています。

酒吞は必ず供されるとはかぎりませんが、現代では、志野、黄瀬戸、唐津、祥瑞などの猪口や小碗が楽しい酒吞として使われています。

   

強肴の器としてよく用いられるのは、織部や唐津など桃山時代の鉢類、江戸時代の色絵陶器、呉須赤絵、古染付、祥瑞などの中国磁器で、夏にはギヤマンが用いられることもあります。

   

懐石に用いられる陶磁器の中で、用途が限られているものは、向付のみで、漆器類い比べて選択は極めて自由です。料理の種類や客の人数、季節、趣向により、亭主が見立てます。

   

   

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