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懐石料理の成り立ちと特徴 ~ 茶道の知識

2016/06/26

懐石料理の成り立ちと特徴 ~ 茶道の知識



懐石料理とは茶席でお茶を出す前に出される簡単な食事のことです。

懐石料理は、日本古来の一汁三菜という食法を基本にしたもので、茶道の創始者・千利休が安土・桃山時代に茶道を確立していく中で、茶を美味しくいただくために創られました。


一汁三菜:飯、吸物(一汁)、菜三品、香の物を基本とした献立のこと


通常、懐石料理は茶席・茶事で、お茶をいただく前にだされますが、これは、茶会で空腹のまま刺激の強い茶を飲むことを避け、茶をおいしく味わうために差しさわりのない程度の和食料理を指します。


懐石料理の成立 ~ 茶道の知識


茶会に料理がだされるようになったのは、16世紀前半で、当初は麺や餅など簡素なものでした。

16世紀中頃には、膳や折敷に、料理を1、2種と、飯と汁ものが乗せられ、これに追加の料理と菓子が出される「一膳形式」が多くなります。


17世紀になると、一膳形式に加え、二の膳又は重箱が加わり、初膳と二の膳の間に香物も出される「二膳形式」が増えるようになります。また、時には二の汁もだされました。


18世紀には、江戸などで食事をだす店が現われるようになり、これと区別するために、茶の湯の料理に対して「懐石料理」という言葉が使われるようになりましたが、まだ一般的には使われませんでした。このころの茶の湯の料理形式は「二膳形式」が主流でした。


19世紀に入ると、懐石料理という言葉も頻繁に使われるようになります。形式も膳も初膳だけで、次々と多くの料理を運ぶ「懐石形式」に近いものになりました。

20世紀には西洋からの影響もあり、懐石料理の素材や調理法も多彩になっていきます。次第に現代のような「向付」「汁」「飯」「煮物」「焼物」「吸物」「八寸」「強肴」「香物」「湯」といった種類を出す形式になりました。


懐石料理の特徴 ~ 茶道の知識


懐石料理には、「旬の食材を使う」「素材の持ち味を活かす」「親切心や心配りをもって調理する」という千利休の侘びの思想を反映した3つの大原則があります。

懐石料理の特徴としては以下のようなことがあげられます。


・季節を感じさせる素材と付け合せを多用し、素材の味をできるだけ生かすように、薄味で調理されます。

・茶の湯の料理である懐石料理には、油を用いた炒め物や揚げ物はあまりだされません。 また、魚や鳥は使われますが、牛肉・豚肉は用いられません。

・盛り付けと器を工夫し、美しくみえるようにします。

・品数は多いですが、一品の量はあまり多くありません。

・酒がだされ、好きな人は酔わない程度に嗜むことができます。