茶道具作家紹介

道入 どうにゅう

楽家三代
更新日: 2009/10/28
楽家三代。慶長4(1599)〜明暦2年(1656)。
楽家2代 常慶の長男として生まれる。名は吉兵衛、
のち吉左衛門、剃髪して道入、別名「ノンカウ」。
存命中より「樂の名手」と称えられ、楽家歴代随一の名工とされる。
本阿弥光悦の『本阿弥行状記』には「今の吉兵衛は至て樂の妙手なり。
我等は吉兵衛に樂等の伝を譲り得て、慰に焼く事なり。
後代吉兵衛が作は重宝すべし、しかれど当代は先代よりも不如意の様子也。
惣て名人は皆貧なるものぞかし」とある。
長次郎や常慶の古楽の作風から脱し、釉や窯の改良により、
釉薬がよく溶け光沢のある優雅な楽茶碗を完成させた。
作品は大ぶり、のびやかな器形で力強く、総じて薄作り。
口縁は薄く削り込まれた蛤端(はまぐりば)で、口作りに凹凸の
うねりをつける「五岳(ごがく)」といわれるものの基本をつくる。
焼成温度が高くなったために、黒・赤釉ともによく溶けて光沢がある。
窯変、黄土がけ、飴釉(あめぐすり)の使用、かけ外しなど釉技も
変化に富んでいる。薄手の口づくりや大きな見込みにも特色がある。
また、黒釉を胴の上部に何度も塗り重ね、焼いているうちに熔けた黒柚が、
下部の薄い釉の上に幕のように垂れ下る幕釉(まくぐすり)
の技法を生み出した。この時、黒釉中の不純物のため幕状の裾が
美しい青白色の、帯状の窯変をおこすことがある。
これを蛇蝎釉(だかつゆう)とよぶ。高台土見せのものもある。
ノンコウ七種として、黒楽の「獅子」「升」「千鳥」「稲妻」、
赤楽の「鳳林(ほうりん)」「若山」「鵺(ぬえ)」がある。
銘印は大小二種あり「樂」の字の中の「白」が「自」
となっていて「自樂印」と称される。