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炭手前~火箸 ~ 茶道の知識

2016/07/17

炭手前~火箸 ~ 茶道の知識


火箸は、火筋ともいい、火鉢やかまどの炭火などを挟むのに用いる箸です。かつての日本で、火鉢や囲炉裏が普及していた時代には、どこの家庭にもある一般的な道具でした。現在は、エアコンなども普及し、家庭で炭火を扱うことが少なくなったことから、旧家や古民家、茶道での茶席などを除き、一般家庭ではその姿がほとんどみられなくなっています。


茶道の炭道具としての火箸は、亭主が客の前で炉や風炉に炭を組み入れる炭点前で、炭斗から風炉や炉に炭を入れるのに用いられています。


火箸の種類


茶道で火箸は、種類により、炭斗に仕組まれたり、杓立に立てられたり、水屋の箱炭斗に仕組まれたりします。


風炉用火箸


柄がない火箸で、素材は鉄、南鐐、砂張、モールなどがあります。象嵌が施されているものもあり、炭斗に仕組んで持ち出します。


炉用火箸


炉は風炉より熱の温度が高くなるため、柄がつけられ、長さは風炉用火箸より少し長くなっています。桑柄が一般的で、その他、松、梅、桜などもあります。炭斗に仕組んで持ち出します。


飾り火箸


火箸の頭に鳥、菊、宝珠などがついています。素材は、真鍮、南鐐、鉄などで、風炉・炉の区別なく用いられます。台子・長板・立礼式の総飾りの際に、杓立に立てておきます。


長火箸


長さは一尺二寸五分(約37.9㎝)の鉄製の火箸で、頭が輪になっており、手に持つ部分は竹皮で巻いて黒の縒り糸で巻かれているのが特徴です。


通常、長火箸は、箱炭斗に仕組んで水屋に置かれます。また、初炭で火が落ちた後に行う「後炭所望」や、七事式「廻り炭之式(炉中の炭をすべてあげ、種火を一つ、灰の中に埋め込んだまま、連客がそれぞれ思うままに炭をついでいく式)」のときには、半田炮烙に仕組んで席中に持ち出されることもあります。


火箸の取り上げ方


火箸には、炭手前の場面や本勝手・逆勝手の違いで、それぞれ異なった扱いがあります。 風炉・炉ともに、炭斗や畳から取り上げるときは、上から取り上げた後、左手で扱って持ちかえるか、畳でついて持ち直します。 逆勝手では、炭斗から取り上げて香を焚くときに限って、手を仰向けるようにして下から取り、畳でついて持ち直します。


火箸の拝見


炭道具のひとつである火箸は、香合の拝見とともに拝見を請うことがあります。火箸の形や細工部分、在銘などを拝見します。

拝見に出すときには、炭斗の中の炭を出して、火箸の1本に釻をひとつかけ、羽箒をのせて出します。 拝見が終わったら、末客は茶道口(点前をするときの亭主の出入り口)の方に正面を向けて返します。


※茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。