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茶道具の基礎知識~風炉

2016/11/23

茶道具の基礎知識~風炉


江戸時代までの風炉

  

風炉は、火を入れて釜を掛ける道具です。茶の湯では、一年を「風炉」と「炉」の時期とに分けており、風炉の時期は通常五月~十月までの間を指します。

風炉の時期に湯を沸かすために、風炉が用いられます。


風炉は、鎌倉初期に南浦紹明が、仏具である台子などとともに中国から持ち帰ったと伝えられています。


風炉と炉の使い分けがいつ頃からはじまったかは定かではありません。しかし、茶の湯の為の風炉については「君台観左右帳記」(室町時代、足利義政東山御殿内の装飾に関して、能阿弥や相阿弥が記録したものの伝書)に茶の湯棚の飾りとして切掛風炉が図示されたものが残されており、このときには既に茶の湯のための風炉が造られていたことを示しています。

  

風炉の作者としては西村宗禅(室町時代)、天下一宗四郎(桃山時代)、辻井播磨(江戸時代)、上田宗品(江戸時代)などが知られています。

特に、西村宗禅、上田宗品は、古くから火鉢の産地として知られた奈良の風炉師で、これらの作品は奈良風炉と呼ばれました。 唐銅風炉や鉄風炉は辻与次郎などの釜師が桃山時代から造っていたのではないかと考えられています。

  

江戸時代には、風炉の種類も増え、材質として真鍮、陶磁器が加わり、形では口を四角く開けた色紙風炉、全体を方形にした四角風炉などがあらわれます。

さらに、鳳凰などの文様を施した風炉も造られるようになり、各茶人の好みによる風炉も多種つくられ、江戸時代後期までに現在知られる風炉の多くが出来ました。

  

現在の風炉

  

現在の風炉は、唐銅製、鉄製、土製、木製といった素材によって、主に「土風炉」「唐銅風炉」「真鍮風炉」「鉄風炉」の四種と、「板風炉」「陶磁器風炉」に分類され、それらを基本として真行草に分けられています。

  

土風炉

土で造った風炉で、焼き締めた後、外側を研磨し、漆を施したものです。黒色のほか、雲華と呼ばれるものがあります。形状としては眉風炉、道安風炉、雲龍風炉、紅鉢風炉などがあります。

  

唐銅風炉

唐銅製の風炉で、釜の羽と風炉の口があるよういなった切掛風炉は古くから用いられていきました。形としては、朝鮮風炉、鬼面風炉、眉風炉、道安風炉などがあります。

  

真鍮風炉

真鍮製の風炉で、裏千家四代仙叟好の老松風炉、八代一燈好の夕顔彫風炉など好み物がみられます。真鍮風炉の多くは釜、皆具と一式になっています。

  

鉄風炉

琉球風炉、眉風炉、道安風炉などのがあり、代表的なものとしては一部が損傷したやつれ風炉があります。やつれ風炉は、十月の名残の時期に使われる風炉です。侘びた風情が 時代の奥深さを連想させる風炉です。また、特殊なものとして裏千家十一代玄々斎好の常盤風炉があります。

  

板風炉

名残の時期に使うことの多い侘びた風情のある風炉で、利休形、宗旦好、玄々斎好があります。

  


風炉の真行草

  

真…土風炉の眉がある風炉、眉風炉、紹鴎風炉など。

行…眉がない風炉、皆具でない唐銅風炉、真鍮風炉。ただし、透木風炉、鳳凰風炉は眉があるが、行になる。

草…鉄風炉、陶磁器製の風炉、板風炉。

※唐銅の切掛風炉は別格となっています。


  

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