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風炉の敷板について ~ 茶道の知識

2016/07/11

風炉の敷板について ~ 茶道の知識


敷板とは、風炉をのせる板のことで、畳を風炉の熱から守る役割も担っています。


風炉は、もともと皆具のひとつとして台子(水指など他の茶道具を置くための棚物の一種)の上に飾ってあった道具で、主に仕付鐶の付いた唐銅の切掛風炉が用いられていました。

やがて、釜の形にあわせて、面取風炉や眉風炉など、さまざまな形のものがつくられるようになり、ほかに、鉄ややきものなどの素材も用いられました。その後、風炉は台子の上にではなく、畳の上で使うようになり、風炉をのせる板である敷板が必要になりました。


敷板は大きく分けて、大板、小板、丸板に分類されますが、荒目(あらめ)板、鉋目(かんなめ)板、真塗、掻合など、合わせる風炉の種類や点前によって使い分けます。

また、流儀や好みによって色々な敷板があり、陶磁器製の敷瓦などもあります。


大板は一尺四寸(約42cm)四方で、主に中置(風炉から炉へ変わる最後の名残の時期に行う点前)に用いられますが、常据えにすることもあります。

小板にも大小があり、大きい風炉には小さいほうを使い、小さい風炉には大きい板にのせます。小板には真塗や荒目板、掻合板、鉋目板、常盤板、敷瓦などの種類があります。


敷板は、真塗が正式で、唐銅風炉だけに用います。幅広く使えるのが黒掻合(くろかきあわせ)板で、土風炉、唐銅風炉、切掛風炉、瓶掛に用いることができます。


荒目板は、粗いものから次第に細かくなっていく横段の鉋目を入れた真塗の板で、土風炉用です。使うときは、荒い目の方を手前にします。

鉋目板は、裏千家十四世淡々斎が切掛風炉用に好んだもので、土風炉にも使えます。

敷瓦は瓦板ともいい、鉄風炉に用います。 敷瓦は、織部焼が主で、ほかに楽焼、志野焼、信楽焼、丹波焼、備前焼なども用いられます。また、古瓦を用いる場合もあります。


席中に敷板を据える位置 ~ 茶道の知識


敷板に風炉をのせるときは、中央にのせるようにしますが、茶席のつくりや点前によって敷板を据える位置が変わります。


大板の据える位置

中置…畳の中央、貴人畳の縁から16目あけたところに据える。 常据えの場合 畳の大きさによって勝手付より1~3目ほど、貴人畳の縁から16目あけたところに据える。

丸畳…畳の中央、貴人畳の縁から16目あけたところに据える。 小間据え 畳みの中央、畳の敷き合わせから六寸あけたところに据える。


小板の据える位置

本勝手 丸畳…貴人畳の縁より16目、勝手付より5~7目ほどあけたところ。畳の大きさや用いる棚の大きさにより、位置を調整する。

逆勝手 丸畳…本勝手の逆に位置するところに据える。

広間 小間据え…大寄せの茶会などで、小間据えにすることもある。畳の敷き合わせから六寸のところに据える。

中置…10月の名残りの磁器だけ据えることができる。畳の中央、貴人畳の縁より16目あけたところに据える。

台目畳…勝手つきからは5~7目、向こう側の壁から四寸あけたところに据える。


※貴人畳:床の間の前が上座で、主客が座る畳

丸畳:畳一畳の大きさをもつ畳

台目畳:畳一畳の四分の三の長さの畳 


茶道の作法は、流儀によって異なりますが、ここでは裏千家の作法をもとに教本などに沿って紹介しています。