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香合の形状と種類 ~ 茶道の知識

2016/07/22

香合の形状と種類 ~ 茶道の知識


香を入れる蓋付きの器「香合」は、茶席では炭道具の一種に分類されます。

中立ちを伴う正式の茶事では、初座と後座でそれぞれ炭手前をしますが、そのときに香をたき、席中の空気と心身を清めます。さらに、香をたくことによって、炭の臭気を消す意味も持っています。


また、香炉は、風炉用(5月~10月)、炉用(11月~4月)、風炉の時期にも炉の時期にも用いることができる両用の3種類に分けられます。


香炉の素材は、伽羅などの香木を入れる風炉用は木地、漆器、竹などで、錬香を入れる炉用の香合は陶磁器が用いられます。 両用の香合の素材は、蛤などの月日貝などの貝類、砂張などのかねものが使われますが、練香を入れる際には、椿の葉を敷いて用います。


風炉用香合


蒟醤(きんま)

タイ、ミャンマーに伝わる一般的な漆工芸技法を用いたもので、籠地あるいは木地に漆を塗り、器面に文様を線彫りし、その中に色漆を詰めて研ぎ出したものです。

コショウ科の植物であるキンマを入れて用いたところから付いた名称です。


堆朱(ついしゅ)

堆朱は、中国漆器を代表する技法である彫漆の一種で、朱漆を厚く塗り重ねて、その上に山水や花鳥などを彫り出したものです。宋代に盛んになり、日本では室町時代に茶道具として珍重されました。


倶利(ぐり)

屈輪とも書き、渦紋など曲線がグルグルとまわった紋様が施されているところからの名称です。


存星(ぞんせい)

 

木地に彫刻し、そこに色漆で象嵌したもの、または、描金で紋様を描いたところへ色漆で着色して研ぎ出したものを指します。


天川(あまかわ)

マカオの天川方面から、日本へ舶来したことからついた名称です。皮革の素地に漆を塗ったものです。


その他、風炉用香合には、螺鈿、蒔絵、根来塗、鎌倉彫、一閑張などがあります。


炉用香合


青磁

中国では古くから焼かれた、青みを帯びた磁器で、宋代に優品が多くみられます。


祥瑞

中国の明末に景徳鎮でつくられた染付の磁器で、素地は白く、釉薬が透明で光沢があります。


呉須

中国・明末期から清の初期にかけてつくられた、染付の中でも青花の発色が黒みを帯びたものです。


交趾(こうち)

中国・明末期から清の初期に焼かれた色釉陶で、主に黄、緑、紫の3色が使われています。多くが日本に伝世しました。


楽焼

京都の陶家樂家代々の焼成品、もしくはそれと同様の手捏ねの軟陶の総称で、歴代家元の好み物などがあります。


振々(ぶりぶり)

振々とは、正月の子供用玩具で八角形の槌に似た形をしたものを、香合に写したものです。鶴亀や松竹梅などおめでたい色絵が施されたものが多くあります。


その他、炉用香合には、宋胡録(すんころく)、京焼、はじき、宝珠などがあります。