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水指の形状と種類~金属・木・竹製・ガラス

2016/09/20

水指の形状と種類~金属・木・竹製・ガラス


水指は、置き水指の点前であれば、最初から最後まで点前座に据えられるもので、茶席の雰囲気を大きく左右する重要な茶道具の一つといえます。

水指は材質も形も多種多様で、その多くは円筒形をしていますが、用途、時季、使う棚によっては、違う形の水指を用いることもあります。


水指を大きく材質で分類すると、「金属」「やきもの(陶磁器)」と、その他「木・竹製・ガラス」にわけることができます。ここでは、金属・木・竹製・ガラスの水指について説明します。



水指の種類~金属


金属製の水指には、唐銅、砂張、毛織(モール)、真鍮、七宝、南鐐などがあります。 皆具の中のものが多く、台子や長板に用いられる場合がよくみられます。 唐銅(からかね) 古銅と同じ意味で、銅を主体とした錫・鉛の合金。共蓋に限られており、形状は一重口、壺形、円筒形などです。耳や釻(引手、輪)のついたものもみられます。


毛織(モール)

毛織銅の略で、地肌には幾何学模様が施されています。形状は袋形が多く、共蓋が喜ばれます。


南鐐(なんりょう)

中国の銀生産地が南鐐ということから、銀のことを南鐐と呼びます。淡々斎、鵬雲斎汎叟の好みの皆具にもみられます。


砂張(さはり)

響銅ともいい、佐波理とも書きます。砂張は銅合金の一種で、南蛮砂張、朝鮮の2種類があり、形状は鉄鉢、袋、馬盥(うまたらい) 、平などがあります。



水指の種類~木・竹製・ガラス


木地や塗りを施したもの、また、近代には舶来品の上質ガラス”ギヤマン”が茶席でも用いられるようになりました。


手桶(ておけ)

東山殿の調度品の塗りの手桶から、村田珠光が杉木地で好んだものに始まり、後に武野紹鴎が真塗にして台子に用いました。利休好は真塗で、角が両端上部にあり、把手がつき、2枚の割蓋になっています。その他、寄せ竹や、蒔絵、春慶塗のものがあります。


釣瓶(つるべ)

井戸の水を汲み上げる釣瓶の形をした水指です。武野紹鴎が、井戸から汲み上げたままの水を水屋へ置くのに釣瓶を好んだのが最初といわれています。その侘びた風情を喜んだ千利休が檜で好んで席中に用いました。


曲(まげ)

赤杉の木地を曲げて造られたもので、木地の盛蓋が添っています。


ギヤマン

義山の字があてられます。 江戸時代、鎖国時代にオランダは長崎出島で交易を許されていましたが、そのオランダ船に積まれた上質のガラスがギヤマンと呼ばれたことからこの名が定着したようです。切込みのあるガラス製の器で、多くは明治時代以後のヨーロッパへの注文品ですが、古渡りのものもあります。暑い夏季には涼を求めて茶席でも用いられています。